編曲…作品そのもの以上に音楽の魅力をつくる
埼玉大学で音楽学の授業をしていた頃、グループワークの発表でベスト5に投票され選ばれた楽曲を再プレゼンさせ、最終的に私がその作品の魅力と聴きどころはどこにあるのかを楽曲分析や解析を補って解説するということを行っていました。音楽用語や音楽構成など、また音楽史として同じ構成を持つ作品紹介もしていました。
その楽曲を知っていたわけではないものも、はじめて全曲聴いたというときも、その場で全部聴き取って採譜もして、コード進行も摘出して。簡単な話しオブリガートの有無、つけかたひとつで楽曲がかわります…という程度のものから、楽曲形式論、弦楽器の発音と倍音効果といった工学部向け音響学、管弦楽法…をちょーやさしく話したのです。
あえて自慢させていただくと「先生にはかなわない」と教育学部音楽専攻の学生が言ってもらえた瞬間でした。また「音楽の知識を実用的に分析する意味がわかりました」と。
ところが…「先生、あれのときの聴音して即座に楽曲てそんなに誰でもできる技じゃないのにさらっとやるから…それに専門的すぎますよ。用語をやさしく解説しても音楽を使うっていうのは音楽を仕事にする人でないとああそうか…ですからね」
…おいおい…卒業してから言わないでよぉ。とはいえ、現場で教師になって、合唱・合奏で編曲が必要な場面になって気づいたことなのでしょう。
ああ、学部学生時代に管弦楽法は楽理の授業ではなく、作曲の授業科目だったから、ウォルター・ピストンや伊福部昭、たぶんポール・モーリアか誰かのフレンチポップスの管弦楽法、結構読み漁って実習もやってみたりしたものね。
朝日デジタル。萩田光雄、川口真、故・大村雅朗、船山基紀、窪田晴男、井上鑑、斎藤ネコ、亀田誠治…。あれまぁ…やっと現場が注目されたのねって。
記事のもとになった基本文献
『ニッポンの編曲家 歌謡曲/ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち』(DU BOOKS)
0コメント